
FBAR提出要件:海外在住者が知っておくべきこと
米国人等は、外国金融口座に経済的利益を有する、または署名権限その他の権限を有し、それらの口座の合計額が暦年中に$10,000を超える場合、原則として外国銀行・金融口座報告書(FBAR)を提出する必要があります。口座や提出者に関する例外が適用されることがあります。米国人等には、米国市民、居住外国人、要件を満たす米国内の事業体等が含まれます。海外に居住しているというだけで、この義務がなくなるわけではありません。
各口座、その所在地、ご自身の所有権または権限、最高額を確認してください。米国の銀行の外国支店にある口座は報告対象となり得ますが、外国の銀行の米国内支店にある口座は、通常、FBAR上の外国口座には該当しません。
FBARを提出しなければならないのは誰ですか。
適用される例外を除き、「米国人等」は、外国金融口座に経済的利益を有する、または署名権限その他の権限を有し、それらの合計額が暦年中のいずれかの時点で$10,000を超える場合、FBARを提出しなければなりません。米国人等の例には、以下が含まれます。
- 居住地を問わず、米国市民
- 合法的永住者(グリーンカード保有者)
- 実質的滞在日数テストを満たす個人
- 米国の法人等:会社、パートナーシップ、LLC、信託、遺産財団
例えば、ロンドンに住む米国人が£8,000の英国銀行口座と、別に£3,000相当の投資口座を保有している場合、FBARの規則に従って米ドルに換算した合計額が$10,000を超え、例外が適用されなければ、報告が必要となることがあります。各口座の年間最高額を口座の通貨で求め、財務省の年末為替レートで換算してください。該当するレートがなければ、検証可能な別のレートを用い、その出典を明記します。基準となるのは外国口座の合計額であり、口座ごとに$10,000の限度が設けられているわけではありません。
外国金融口座に該当するものは何ですか。
適用される定義や例外に応じて、外国金融口座には以下のものが含まれ得ます。
- 銀行口座:米国外にある当座預金、普通預金、定期預金の口座
- 証券口座:株式、債券、投資信託を保有する、米国外の証券取引口座
- 商品先物・オプション口座
- 解約返戻金等の現金価値を有する保険・年金契約:例えば、報告対象となる外国の現金価値付き生命保険契約
- 投資信託および同様の共同運用ファンドで、持分が一般に提供され、純資産価額が定期的に算定され、定期的に換金できるもの。私募の投資形態がすべて自動的に対象となるわけではありません。
- 現金以外の資産を保有する報告対象口座:金融口座の種類と所在地を検討してください。貴金属を直接保有しているだけでは、FBAR提出義務は生じません。
報告規則の対象は、従来型の銀行預金に限りません。その仕組みが報告対象金融口座に該当するか、どこに設けられているか、例外が適用されるかを確認してください。外国不動産や貴金属を直接所有することと、報告対象口座で資産を保有することは異なります。
FBARの提出期限と自動延長
通常のFBAR提出期限は報告対象暦年の翌年の4月15日で、10月15日まで自動的に延長されます。延長申請は不要です。ご自身の状況に適用される追加の救済措置については、最新のFinCEN通知を確認してください。適用される延長後の期限までに提出すれば、その報告書について期限後提出の違反を回避できます。
FBARは通常、FinCENのBSA電子提出システムを通じて、所得税申告書とは別に電子提出します。FinCENが申請に応じて紙による提出を認める例外を承認することがありますが、旧様式や電子様式を印刷したものは、有効な代替として認められません。
共同名義口座と署名権限
配偶者の提出例外は限定されています。提出しない配偶者が報告すべきすべての外国金融口座が、提出する配偶者との共同名義で、その配偶者が署名し、期限内に提出したFBARに記載され、必要事項を記入し署名したForm 114aによる授権の対象でなければなりません。Form 114aは記録として保管してください。これらの条件を満たさない場合、配偶者それぞれの個別の提出義務を検討します。
合計額の基準を満たす場合、署名権限その他の権限によって提出義務が生じることがあります。ただし、規則上の免除や適用される延長を考慮する必要があります。その権限は、金融機関への直接の連絡を通じて資産の処分を支配できるものでなければなりません。
FBARの罰則:非故意、故意、刑事罰
FBARの義務は、連邦所得税の申告とは別に、合衆国法典第31編の銀行秘密法に基づいて生じます。報告義務や記録保存義務の違反には、民事制裁金が科される可能性があり、該当する場合には刑事罰もあり得ます。適用される扱いは、行為、記録、適用規則によって異なります。
非故意の違反に対する制裁金
Bittner v. United States判決によれば、非故意に適正なFBARを提出しなかった場合の制裁金は、口座単位ではなく報告書単位で課されます。法定上限の$10,000にはインフレ調整が適用されます。口座残高を適切に報告することを含む所定の条件を満たせば、合理的理由による例外が適用される可能性があります。非故意であるというだけでは、合理的理由が認められるわけではありません。
故意の違反に対する制裁金
故意に口座や必要な識別情報を報告しなかった場合、民事制裁金の法定最高額は、インフレ調整後の$100,000と、違反時の口座残高の50%のいずれか大きい額です。適用規則に従って、該当するインフレ調整後の上限と実際の賦課額を確認してください。法定最高額が自動的に賦課されるわけではありません。
刑事罰
故意の違反には、刑事罰が科される可能性もあります。想定される罰金額や拘禁期間は、該当する犯罪と加重事情によって決まります。加重された場合の最も重い上限を、あらゆる提出義務違反の罰則として扱わないでください。
FBAR案件を扱う弁護士は、提出履歴、行為、考えられる是正方法を評価できます。一部の選択肢には、厳格な適格要件や適時性の規則があります。速やかに助言を求めることは大切ですが、すべての案件で制裁金の軽減や免責を保証する手続はありません。
FBARとForm 8938(FATCA):主な違い
FBARとForm 8938は、対象資産、基準額、提出規則が異なる別個の報告制度です。表は未婚の個人についてまとめたものです。他の申告区分や一定の米国内事業体等には、異なる規則が適用される場合があります。海外向けの高い基準額の適用には、Form 8938独自の外国の税務上の本拠地と海外滞在のテストが用いられます。所得税申告書の提出義務がない人は、資産基準額を超えていても、通常はForm 8938の提出義務はありません。
| FBAR(FinCEN 114) | Form 8938(FATCA) | |
|---|---|---|
| 提出先 | FinCEN(BSA電子提出) | IRS(所得税申告書に添付) |
| 基準額(米国在住の独身者) | 暦年中の合計額が$10,000超 | 課税年度末日の額が$50,000超、または年中の額が$75,000超 |
| 基準額(要件を満たす海外在住の独身者) | 暦年中の合計額が$10,000超 | 課税年度末日の額が$200,000超、または年中の額が$300,000超 |
| 対象資産 | 外国金融口座 | 一定の口座や口座以外の投資を含む、特定外国金融資産 |
| 報告に関する主な民事制裁金 | 故意の口座報告違反:インフレ調整後の法定額$100,000と、違反時の残高の50%のいずれか大きい額を上限とする | 不提出に対して$10,000。IRS通知後の所定期間を過ぎても不提出が続くと、最大$50,000が追加されることがあります。その他の罰則も適用され得ます。 |
| 提出期限 | 4月15日(10月15日まで自動延長) | 適用される延長を含め、所得税申告書と同時 |
両方の様式が必要な場合があります。一方を提出しても、他方の義務を満たしたことにはなりません。例外、既婚者の申告基準額、評価規則については、指示書全体を確認してください。Form 8938の場合、IRS通知から90日後も不提出が続くと、30日間またはその端数期間ごとに$10,000が追加される可能性があり、追加の提出制裁金の上限は$50,000です。合理的理由の規則や、別個の過少納付に対する罰則も検討する必要があります。
旅券に関する認定と別個の租税債務
IRC第7345条による旅券に関する認定は、所定の要件を満たす重大な滞納連邦租税債務を対象とします。2026年のインフレ調整後の基準額は$66,000超であり、法定の徴収条件や除外規定も適用されます。
旅券に関する認定上、FBAR制裁金は重大な滞納租税債務から除外されます。基準額を満たすために、元の所得税債務に加算されることはありません。別個の連邦租税債務が、それ自体で要件を満たすことはあります。海外在住の米国人は、認定通知と適用される除外規定を確認してください。
記録保存要件
適用規則に従い、必要なFBAR口座記録を五年間保存してください。対象は、口座名義、口座番号その他の識別情報、外国金融機関の名称と住所、口座の種類、報告期間中の最高額です。裏付けとなる明細書などの記録に、これらの情報が記載されている場合があります。この規則は、あらゆる口座開設書類や銀行明細書を一律に要求するものではありません。
FBARの期限後提出:期限を過ぎた場合の対応
過去の報告が未提出であれば、提出履歴、所得の申告状況、当局からの連絡の有無を速やかに確認してください。適切な是正方法と制裁金の扱いは、事実関係に左右されます。自ら申し出ても、制裁金が軽減される保証はありません。
考えられる是正の選択肢には、以下があります。
- 簡易申告遵守手続:非故意の行為であることを証明でき、その他すべての要件を満たす、適格な個人(個人の遺産財団を含む)が利用できます。通常、対象期間は、該当する期限が過ぎた直近3年分の所得税申告と6年分のFBARです。国内向け手続では、必要な当初申告書が過去に提出されていること、修正申告書の提出、5%の包括的オフショア制裁金が求められます。要件を満たす国外向け手続では、期限後申告または修正申告が認められ、所定の罰則軽減が適用されます。該当する税金と利息の支払い義務は残り、既に賦課された罰則が自動的に取り消されることもありません。海外に住んでいるだけでは適格性は認められません。
- IRS自主開示制度(VDP):故意の不遵守がある適格な納税者向けの方法です。適時に、真実かつ完全な開示を行うことで、訴追のリスクを抑えられる可能性がありますが、自動的に免責されるわけではありません。
- 期限後のFBAR:IRSとFinCENの最新の提出指示に従い、遅延理由を説明し、罰則と救済措置を検討してください。期限後に提出することや未申告所得がないことだけでは、罰則の免除は保証されません。
是正方法を選ぶ前に、IRSの税務調査や捜査、過去の当局との接触、提出済み申告書、申告漏れ所得、利用可能な口座記録を確認してください。当事務所の自主開示に関する資料と、検討中の選択肢に関するIRSの最新の指示を参照してください。
FBAR提出に関するよくある質問
口座が一度も$10,000に達していなくても、FBARの提出は必要ですか。
必要な場合があります。一つの口座だけで$10,000を超える必要はありません。基準は、報告対象となるすべての外国口座の合計額です。FBARの最高額と通貨換算の指示に従ってください。合計額が$10,000を超えなければ、金額基準は満たされません。超える場合は、提出義務と適用される例外を検討してください。
外国の退職・年金関連口座はFBARで報告する必要がありますか。
外国の退職・年金関連の金融口座が報告対象となる場合があります。所得税条約による課税繰延べだけでは、FBARの免除にはなりません。FBAR固有の例外と、口座の事実関係を検討してください。
罰則なしでFBARを期限後に提出できますか。
罰則の救済は、適用規則と事実関係によって異なります。最新の期限後提出の指針に従い、適格性、合理的理由、捜査や税務調査について助言を得てください。税務弁護士にご相談ください。
IRSが先に未報告口座を発見したら、どうなりますか。
いずれかの課税年度についてIRSの民事税務調査または刑事捜査の対象となると、納税者は簡易手続を利用できません。情報の発見や第三者情報の受領だけが、簡易手続の一般的な除外事由となるわけではありません。VDPには別の適時性要件があります。実際の事実関係に基づき、リスクと適格性を評価してください。
外国の取引所で保有する暗号資産は、FBARの報告対象ですか。
FinCEN Notice 2020-2によれば、仮想通貨のみを保有する口座は、他に報告対象となる資産も保有していない限り、現行のFBAR規則では報告対象ではありません。提出前に最新の規則と、所得税およびForm 8938に関する別個の義務を確認してください。規則を提案する意向が表明されたというだけで、暗号資産のみの口座についてFBARが義務化されたと判断しないでください。
ご自身を守るために:FBARを扱う弁護士に今すぐ相談を
弁護士との面談前に、口座明細書、過去の所得税申告書とFBAR、連絡文書、関連する期限をまとめてください。適用される報告・是正規則、業務の範囲、料金の算定方法を話し合ってください。
外国口座の報告について、Segal, Cohen & Landis (SCL)に今すぐお問い合わせください (英語)。機密記録を共有する前に、守秘義務や秘匿特権の範囲を弁護士に確認してください。特権の適用は、通信の内容や法的な状況によって異なります。
一次資料:IRSのFBAR指針、FinCENの提出指示書、Bittner v. United States、Form 8938の指示書、簡易手続、IRSの自主開示指針、IRSの旅券に関する指針。報告年度に適用される規則を確認してください。
